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Transistor-transistor-logic (TTL) はバイポーラトランジスタと抵抗器で構成されるデジタル回路の一種。論理ゲート段(例えばANDゲート)と増幅段のどちらの機能もトランジスタを使って実装しているので、(RTLやDTLとの対比で)このように呼ばれている。 半導体を用いた論理回路の代表的なもののひとつであり、通常+5V単一電源のモノリシック集積回路 (IC) ファミリとして、コンピュータ、産業用制御機械、測定機器、家電製品、シンセサイザーなど様々な用途で使われている。TTLという略称は、TTL互換の論理レベルの意味で使われることもあり、TTL ICとは直接関係ないところでも使われている。例えば電子機器の入出力のラベルなどに表示することがある〔Eren, H., 2003.〕。 DTLの改良品であり、さまざまなメーカーによってICが製造されているが、1970年代にテキサス・インスツルメンツ社(以下 TI, Texas Instruments)の汎用ロジックICファミリ(7400シリーズ)が広く普及して業界標準となった。標準シリーズから、高速版、低消費電力版、高速・低消費電力版などのバリエーションを広げ、初期のマイクロプロセッサの応用の広がりとともにさらに普及した。しかし、バイポーラトランジスタを使うため、低消費電力化・高集積化・低電圧化には向かず、CMOS技術の発達に伴いデジタルICの主力の座をCMOSに譲った。 == 歴史 == 1961年、TRWの James L. Buie が「新たに開発する集積回路の設計技術に特に適した」ものとして発明。当初は ''transistor-coupled transistor logic'' (TCTL) と名付けられていた〔Buie, J., 1966.〕。最初に製品化されたTTLのICチップは、1963年にシルバニア (en) が製造したもので Sylvania Universal High-Level Logic family (SUHL) と名付けられた〔The Computer History Museum, 2007.〕。シルバニア製の電子部品はフェニックス・ミサイルの制御に使われた〔。TIが軍用規格(動作を保証する温度範囲が広い)の5400シリーズICを1964年に発売し、民生用規格でパッケージもプラスチックにした7400シリーズICを1966年に発売すると、TTLは電子システム設計で広く使われるようになっていった〔Bo Lojek,'' History of semiconductor engineering ''Springer, 2006 ISBN 3540342575,pages 212-215〕。 TIの7400ファミリは業界標準となった。モトローラ、AMD、フェアチャイルド、インテル、Intersil、Signetics、Mullard、シーメンス、SGS-Thomson、ナショナル セミコンダクター〔Engineering Staff, 1973.〕〔L.W. Turner,(ed), Electronics Engineer's Reference Book, 4th ed. Newnes-Butterworth, London 1976 ISBN 0 408 00168〕といった半導体企業が7400ファミリ互換のICを製造した。単に互換TTL部品を各社が製造しただけではなく、他の回路技術を使った互換部品も製造された。ただしIBMは他とは互換性のないTTL部品を製造し、社内でSystem/38、IBM 4300、IBM 3081といった製品に使用していた〔Pittler, Powers, and Schnabel 1982, 5〕。 "TTL" という略称はバイポーラ汎用ロジックICのその後の世代にも約20年にわたって使われ続け、速度や消費電力が改善されていった。最近のロジックICファミリである 74AS/ALS(アドバンストショットキー)は1985年に登場した〔Texas Instruments, 1985〕。2008年時点でも、TIは様々な古い技術の汎用ロジックICを供給し続けているが、価格はかつてより高くなっている。一般にTTLロジックICは数百個以上のトランジスタを集積していない。チップ当たりに搭載される機能は、数個の論理ゲートからビットスライス式のマイクロプロセッサの範囲である。TTLの重要な特徴はその低価格さであり、そのためにそれまでアナログ回路で実現していた機能が次々とデジタル化されていった〔Lancaster, 1975, preface.〕。 パーソナルコンピュータの先祖の1つとされる Kenbak-1 はCPUをTTLで構成したもので、1971年当時マイクロプロセッサはまだ入手できなかった〔Klein, 2008.〕。1973年の Xerox Alto と1981年の Star ワークステーションはGUIを導入したことで知られているが、ALUやビットスライス単位のTTLチップを使って構成されていた。1990年代まで、多くのコンピュータはLSIの間をTTL互換ロジックで接続するという形で構成されていた。プログラマブルロジックデバイスなどが登場するまで、TTLに代表されるバイポーラ・ロジックICは開発中のマイクロアーキテクチャのプロトタイピングとエミュレーションに使われていた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「Transistor-transistor logic」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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